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神社を知る 第三回 「禊・祓いの意味」





 わが国の神話に、伊邪那岐命(イザナギノミコト)が黄泉国(ヨミノクニ【死者の国】)から戻られた時、竺紫(ツクシ)の日向(ヒムカノ)橘(タチバナノ)小門之(オドノ)阿波岐原(アワギハラ)で禊(ミソギ)してその罪穢(ツミケガ)れを祓われ、それによって天照大御神(アマテラスオオミカミ)が出現された(『古事記』上巻)ことが語られている。これが禊祓(ミソギハラ)いの始まりです。

 神社にお参りすると、入口に手水舎(テミズシャ)があります。先ず手を洗い口を濯(スス)いで罪穢れを落として心身を清浄(セイジョウ)にし、次いで拝殿に進んでお祓いを受け、伊邪那岐命が禊祓いをされた時に出現された祓戸(ハラエド)の大神(オオカミ)の霊力によって、知らず知らずに犯してきた洗っても落ちない罪穢れを祓い清めます。そして神前に額(ヌカ)ずき一心に神に祈れば、心は神に通じ諸願成就(ショガンジョウジュ)するのであります。これは太古からつづく日本人の信仰で、この清浄(セイジョウ)にして曇り無き心が日本人が最も大切にしてきた「まこと」の心、即ち「大和(ヤマト)ごころ」で、民族のアイデンティティの源となっています。

明治天皇も御製(ギョセイ)で

めにみえぬ 神のこころに かよふこそ 人の心の まことなりけれ

と詠われ、江戸時代の有名な国学者本居宣長(モトオリノリナガ)も

敷島(シキシマ)の 大和ごころを 人問(ヒトト)はば 朝日に匂ふ 山さくら花


と、日本人の心のありようを詠(ウタ)っております。古代の国法「令(リョウ)」で、六月と十二月に国を挙げて半年毎の大祓(オオハラエ)をすることが定められていたのも、国民すべてが神に通じる「まこと」の心を取り戻し平和な社会を実現しようという願いの表われでありました。

 全国の神社では、今もこの伝統を守って、六月三十日・十二月三十一日に大祓式(オオハラエシキ)を行い、参拝者共々に大祓詞(オオハラエノコトバ)を唱えて、茅(チ)の輪(ワ)くぐりや人形(ヒトガタ)によるお祓いを行っています。人と人、人と神をつなぐ「まこと」の心が曇り、社会が殺伐としてきた今、お禊祓いに込められた遠き祖先の祈りにもう一度思いを致すときではないでしょうか。


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